FDI企業(外資系企業)の初年度監査がその後の年度と違うのは、すべての残高が「ゼロから積み上げられる」こと、そして多くの取引が社印や銀行口座を持つ前に発生していることです。こうした最初の取引の証憑が欠けていると、親会社に送る最初の財務諸表から監査人が限定付適正意見を表明する可能性があります。以下のチェックリストは、新設FDI企業の帳簿を担当してきたACCA Consulting Vietnamの会計チームが実務をもとにまとめたものです。
1. 初年度監査はその後の年度と何が違うのか?
| 特有事項 | 監査人が注目する理由 | 重点書類 |
|---|---|---|
| 初回の出資 | 資本の確認と出資期限の遵守状況 | DICAの取引明細、送金証憑、投資登録証明書(IRC)、企業登録証明書(ERC) |
| 設立前費用 | 法人格がない時期に発生し、証憑が投資家名義になっていることが多い | 費用移転契約書、請求書、支払証憑 |
| 当初の資産 | 輸入機械、現物出資、取得原価の確定 | 税関申告書、契約書、評価書、引渡書 |
| 会計方針 | 初年度に設定し、以降のすべての年度に影響する | 会計制度、記帳通貨、減価償却方法の決定書 |
2. 出資の証憑と90日の期限
外国投資家の出資金は直接投資資本口座(DICA)を通じて送金し、ERC発行日から90日以内に払い込む必要があります。監査人は各入金をこの期限およびERC上の資本額と照合します。払込遅延のリスクについては記事外国投資家の出資期限で詳しく解説しています。
例示です。第3回は90日の期限を超過しているため、企業は現行規定に従って対応する必要があり、監査人が注記で言及する可能性があります。
表で見る
| 第1回(資本の60%) | 21 日 |
| 第2回(資本の30%) | 68 日 |
| 第3回(資本の10%) | 104 日 |
| 出資期限 | 90 日 |
- DICAの入出金明細で、送金者名がIRC上の投資家名と一致し、送金内容に「出資」と明記されていること。
- 外貨建て出資金は受領日の実勢レートで計上し、計算表を保管すること。
- 現物出資の場合:評価書、受渡書、所有権移転の証憑。
3. 設立前費用と輸入資産
市場調査、コンサルタント費用、航空券、仮オフィスの賃料などは、法人設立前に親会社や投資家個人が支払っていることがよくあります。これを新会社の帳簿に計上するには、費用移転契約書、明細リスト、原始証憑が必要です。これらが揃っていないと、監査人は残高を認めにくく、税務当局も損金算入を認めにくくなります。
輸入機械の取得原価には、購入価格、還付されない税金、運送費、据付費、試運転費が含まれます。よくあるミスは、据付費を資産計上せずに当期の費用として処理することや、使用開始の引渡書がないため減価償却を開始できないことです。
4. 初年度監査のための書類チェックリスト
- IRC、ERC、定款、法定代表者および会計責任者/経理担当者の任命決定書
- DICAと決済口座の、口座開設日から12月31日までの入出金明細
- 原始証憑付きの設立前費用の契約書と明細表
- 輸入資産の税関申告書、請求書、引渡書
- オフィス/工場の賃貸借契約書、保証金の証憑、前払賃料の配分表
- 会計制度、記帳通貨、減価償却方針を選択した文書
- 労働契約書、給与台帳、会社負担21.5%の社会保険(BHXH)納付証憑
- 提出済みの付加価値税(VAT/GTGT)・個人所得税(PIT/TNCN)申告書と、各四半期の法人所得税(CIT/TNDN)予定納税表
5. 限定付適正意見につながりやすいミス
- 1期末の実地棚卸を行わない
監査人が12月31日時点の棚卸資産・固定資産を確認できません。
- 2設立前費用の証憑不足
支出が会社に帰属することを証明できません。
- 3出資額の不一致
誤った口座への入金、送金者名の相違、または期限超過。
- 4資産の取得原価の誤り
据付費を資産計上していない、使用開始の引渡書がない。
- 5グループ内債権債務の不一致
親会社への未払金が親会社の残高確認と一致しない。
上記のミスの大半は、12月より前に発見できれば修正可能です。初年度の期中に一度帳簿レビューを行うほうが、2月に監査人へ説明するより、はるかに手間を省けます。準備の全スケジュールは財務諸表監査の12週間スケジュールをご覧ください。
よくある質問
年末に設立したFDI企業は、その年度の監査が必要ですか?
最初の会計期間は会計期間に関する現行規定に基づいて決まり、初回の期間が短い場合は翌年度と合算できることがあります。経理担当者と監査法人とで早めに確認しましょう。
親会社が支払った設立前費用を損金に計上できますか?
費用移転契約書と適法な原始証憑があり、その支出が会社の事業に資するものであれば可能です。関連者間取引の規定や関連する税務も併せて検討する必要があります。
初年度の限定付適正意見はどのような影響がありますか?
親会社や銀行はこの意見とあわせて財務諸表を読むことになります。また、未解決の問題は翌年度の監査意見にも持ち越される可能性があります。
初年度の帳簿を整えれば、翌年以降が楽に
ACCA Consulting Vietnamは、ERC取得日から最初の監査済み財務諸表まで、新設FDI企業に伴走します。会計代行の無料相談はこちら。
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